なぜ、ボクたちは刀や銃のような武器に魅了されるのか

なぜ、ボクたちは「刀」や「銃」のような武器に憧れるのだろうか? ふと、そんな疑問が頭に浮かんだ。

 

そもそも、なぜボクたち男の子は武器に興味を持つのだろうか? 武器とは本来、獲物を狩ったり、あるいは人間同士で殺し合う物だ。

 

だったら、ボクたちは潜在意識で得物を殺したり、人を殺したいのだろうか? いいや、少なくとも殺人衝動もないし狩猟だって興味はない気がする。

 

であれば、圧倒的な力が欲しいのだろうか? う~ん、これもあまりピンとこない。もし、圧倒的な力が必要なのであれば、ボクたちは「核ミサイル」を好きにならなければおかしい。

 

それに、圧倒的な力が好きなのであればボクたちの職業では「屠殺業」や「刑務官」のように一方的に力を行使できる立場に人気が集まらなければおかしい。しかし、世界的に見ても傭兵や兵士になりたがる人たちはいても、「屠殺業」などの人気は低いように思う。

軍人などは戦場で敵を殺すが、しかし一方的に殺せるワケではない。むしろ自分も殺されるリスクが生じる。つまり、殺し殺されるリスクは半々なのだ。

 

であるにも関わらず、屠殺業よりも軍人の志願者の方が多いように思える。

 

・・・・・・・少し話が脱線した。

 

つまり、ボクは2つの仮説を用意した。すなわち、ボクたちが武器に心惹かれる理由は①他動物の角や牙、爪のように強い個体を示すシンボリックな物としての魅力②相手/自分を滅ぼす物としての魅力

 

この2つによって、ボクたちは武器に魅力を感じているのではないか? という事だ。

 

当然、それ以外の要因もあるだろうし、むしろボクの仮説は暴論だと自覚している。

 

まず、①は多くの人に納得してもらえる内容ではないかと考えている。つまり、武器を持つ事で、ライオンやゾウ、虎など他動物が有する強さを手に入れられる点だ。

 

ホモサピエンスは基本的に発達した牙や爪、角などはない。せいぜい、体の大きさなどだろう。自然界では武器を持たない人間なんて弱いのだ。

逆に言えば、武器を持つ人間は強い。

だからこそ、ボクたち――もっと言えば、人間の雄は特に武器に惹かれる。これによって個体としての生存力を強くして、周囲に己の強さを誇示できるようになる。

 

もちろん、武器自体の美術性もあるだろう。

 

このような複合的要因によってボクたちは武器を好きになる。

 

・・・・・・そして②の仮説だ。

 

ボクたちは武器を持って「戦う」作品などを好むし、武器自体も好む。

 

しかし、先ほど上で記したように、どうやらボクたちは圧倒的過ぎる力にはさほどの興味を持たないらしいことは分かった。

 

むしろ、ボクたちは対等な立場での「戦い」を好むらしいのだ。

 

しかも、戦場は常に相手を殺す場所でもあれば、自身を殺す場所でもあるのだ。動物における雄の役割は自己の集団を守り、子孫を繁栄させるため多く繁殖活動を行い種を保存させることが目的だ。

 

ホモサピエンスの雄もこの例に漏れない。

 

であるにも関わらず、有史以来、戦争はあり、しかも武器は変化してきた。普通、己を殺しうる「武器」は忌諱されてしかるべきであるにも関わらず、むしろ幼年期の頃からボクたちは「武器」に魅了されてきた。

 

それは、その武器という殺しを追求し、そのため進化してきた代物に対して己を滅ぼす美しさを感じているからではないだろうか? 潜在意識の中でボクたちは常に「相手を倒す」イメージをしながら、その表裏一体として「自己が滅ぼされる」イメージをしているのではないだろうか? これは、両義性ともいえる。

 

本来的にボクたち、人間の雄は種を守り、繁栄させる役割を追う生物であるハズなのに、自意識と高い知性によって『人間という存在』へ歪に進化してしまった。その結果、武器という代物に魅力を感じてしまうようになった。

 

だが、圧倒的な力は欲さない。なぜならば、「核ミサイル」が刀や銃ほどに人気がないから。

 

だから、ボクたちは今日も武器を愛でる。